訪問先紹介
大井川鐵道・千頭駅

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2010年5月15日に訪れてきた第49回静岡ホビーショー
それを見た後、静岡から郊外へと国道362号を直走り、大井川沿いの要衝・千頭駅(静岡県榛原郡川根本町)へと向かいました。

国道といっても、車窓の風景はこんな感じで山の中。

300番台や400番台の国道にはよくあることですが、一部すれ違いも厳しい結構な峠道でした。階段国道でないのが幸いでしたが(笑)。
地図上での直線距離は20km程度でしたが、実走距離は50km弱。くねくね道とアップダウンの連続でした。

で、静岡から1時間半程かかってやっと着いたのが大井川鉄道の千頭駅。海抜高度300m弱、山の中のオアシスです。
すぐ近くには道の駅・奥大井音戯の郷(おとぎのさと)があるので、車を停めるには困りません。



早速入場券(150円)を購入してホームへ。千頭駅は金谷駅(静岡県島田市)からの大井川本線の終着駅です。


終着駅のお約束、車止めをパチリ。真ん中の生垣はC11-227を模しているそうです。見えんこともないかなぁ(笑)。


転車台も残されておりましたが、現在は使用されていないようです。元は東赤谷駅(新潟県新発田市)にあったそうです。


また千頭駅は奥大井への玄関口として井川線(南アルプスあぷとライン)の始発駅を兼ねる要衝です。
もともと電源(ダム)開発のための路線で、昭和初期に全通した井川線は軌間762mmの専用線でした。
※現在は改軌
トンネルなどの建築限界があるため、背が低くて、急勾配(一部アプト式区間有)に対応した可愛らしい電気機関車が牽引します。


さて、実は今回のここまでやってきた目的の一つは、
「動いている蒸気機関車が見てみたい」ということでした。
ご存知の方が多いと思いますが、大井川鉄道では多くの蒸気機関車が実際に客車を牽引して活躍しております。


煙と蒸気、そして石炭の燃焼した匂い。静態保存の機関車や電気機関車ばかりを見てきましたが、この匂いは分かりませんでした。

シュッ、シュッ、シュッ、シュッという蒸気の排出音、ゆっくりとした金属の摩擦音に蒸気機関車の躍動を感じます。


こちらはC11-227号機。1942年(昭和17)製造の三次形で、以前に藤沢で見たC11-245とは兄弟に当たりますね。
1976年7月9日に大井川鉄道で蒸気機関車が復活運転を開始して以来、今尚活躍し続けるタフな蒸気機関車です。


運行表や磨かれたレバーなど、道具である雰囲気がたっぷりです。1975年北海道標津線より大井川鉄道へと入線したそうです。


奥に見えるのがC10-8号機。手前のC11とは近い形式の兄弟ですが、特徴的なリベット構造が違いとして見て取れます。



このC10-8号機は、1930年(昭和5)に川崎車両で製造、各地を転線し、最後は1961年(昭和36)に会津若松区で廃車となりました。
1987年(昭和62)宮古市で“SLリアス線”として復活。その後大井川鉄道へやって来たそうです。1999年10月14日より営業運転開始。


ちょうど付替え作業を行っておりました。C10やC11は小型であるとはいいますが、その存在は十分に偉大です。


千頭から金谷へはこのようなバックでの牽引運転です。


牽引する客車はオハ35やオハ47などの旧型客車です。青もいますが、茶色の車両が多いですね。


年期を感じる”かわね路”号のテールマーク。この辺りは川根茶で有名な茶所なので、茶摘み娘のモチーフです。


列車の最後尾にはこれまた年期の入った電気機関車が補機(?)として連結されておりました。
右のE101号(E10形)は1949年の大井川本線電化に伴い大井川鉄道が新造した車両。
左のED501号(ED500形)は1956年日立製の電気機関車で、大阪セメント伊吹工場で使用されていたそうです

国鉄の電気機関車で言うとEF58登場頃の時代ですので、この2両が現役というのも相当なものです。



14:58 C10-8牽引のSL南アルプス号1番線より出発。汽笛が谷間にこだまして、本当に心に染み入る心地よい響きでした。



束の間の静寂の中、構内の片隅に佇む機関車が2両。右のE102は、先程のE101の兄弟です。
左は大正期の機関車で、私の大好きな9600形蒸気機関車(49616号機)です。構内にて静態保存されています。


9600形は1913年(大正2)から製造された国産初の本格的テンダー式蒸気機関車。「キューロク」の愛称で親しまれました。
規格が低い線へも入線が可能で十分な牽引力を備えていたため、最後の最後まで稼動した長寿の蒸気機関車でした。

49616号機は1920年(大正9)に川崎車両で製造され、1976年(昭和51)北海道北見機関区を最後に大井川鉄道へやって来たそうです。

この9600形蒸気機関車を見に来ることも目的の一つでした。正面は良い面構えに設えてありましたが…


他は正直無残な状態でした。


少し残念な出会いでしたが、今後何とか良い状態での静態保存してもらえればありがたいです。

15:23発C11-227牽引のSLかわね路号が出てしまうと、遠くの山々へと響く汽笛の音を残して千頭駅にはまた静寂が訪れました。


都合2時間近くを過ごした千頭駅でしたが、蒸気機関車への私の憧憬を満たしてくれたありがたい場所でした。
去りがたい気持ちを残しながらも、日暮れに急かされる様に来た道を辿り、山を降りて行きました。

是非ともまた訪れたい場所となりました。
また来ることが叶うのならば、さらに足を延ばして奥大井の各地も巡りたいものです。




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