車両工作
D51なめくじのプラモデル作成
アリイ社製 D51(ナメクジ) 1/50スケール

鉄道模型工房のTOPへ



アリイさんから発売されていた1/50・D51(ナメクジ)のプラモデルを手に入れることができました。


1936年に登場、同一形式の製造台数として1115両の金字塔を打ち立てたお馴染みのデゴイチです。
1号機から85号機と91号機から100号機までの95両は初期形に分類され、その形状から”なめくじ”と呼ばれています。
軸重配分の不備から動輪の空転が発生し易く、一部地域では受領が断られるといった逸話のあるこのタイプ。
現場では嫌われた初期形のなめくじさんですが、私は決して嫌いなタイプではありません。
それどころか、蒸気機関車といえば”デゴイチ”という性質の私にとっては、念願の”D51”といった感じです。

鉄道文化むらの96号機


たつの荒神山公園の59号機


上2両のなめくじの実車を見ていますが、意図せずしていずれも切詰デフの北海道型です。
そんな縁もあって、今回は北海道タイプのなめくじD51を作成しようと思っています。

私なりに心をこめて作りたいと思いますが、どのようななめくじさんが出来るでしょうか。
素人工作の記録として、はたまた同種キット作成の参考としてお読みいただければ幸いです。



足回りの工作

いつも通りに足回りの作成から取り掛かりました。サクッと下の様に出来ましたが、実は2日もかかっています。


毎度思うことですが、足回りの構造を知る上で大変よく出来たキットです。
C11C62と比して、部品の整合性が上がっているのも嬉しいところでした。



ボイラー周りの工作

既存の砂撒き管のモールドを削ぎ落とすところからはじめました。

所謂『なめくじ』と呼ばれる部分の作成です。手摺を増設しています。

ランボードを接着し、ボイラーの梯子はキット付属のものを使用しました。

砂撒き管の点検口を欠き取りました。この蓋を開閉できるようにするつもりです。
左の写真はもっと工作が進んだ時の様子ですが、こんな状態に蓋がかぶさり、開閉できるようにしました。

さらに煙室扉も開閉できる様に下の写真の通り切り取ってみました。少しずつ欠き取る根気の要る作業でしたが、何とか扉を分離することに成功しました。
上下2箇所のヒンジの部分に真鍮線を通して、煙室扉を開閉できるようにしました。

下の写真は煙室扉と砂撒き管の点検口を開いた状態です。

銅線や真鍮線、アルミテープなどを利用して、空気作用管などの様々なモールドを追加していきます。
キット付属の汽笛は相変わらず問題のある形をしているので、キットのランナーやプラ棒などを利用して自作します。左の写真は製作途中で試行錯誤しているところですが、ちょっと上下に長かった様で削り直しです。

ボイラーの配管表現は、初期形のなめくじということで少し控えめにしました。その代わりと言ってはなんですが、ランボード下のコンプレッサー周りなども配管の増設を中心に下の写真の様にディティールアップしていきました。

今回の工作を通して参考にしていたのが、細川武志氏著『蒸気機関車メカニズム図鑑 』(グランプリ出版)でした。仕組みが判ってくると、一つ一つの配管に意味を持たせることが出来、工作の説得力が増す様な気がしました。

徐々にですがボイラーが形を成してきました。



キャブ(運転室)周りの工作

キャブ内のモールドもそのままでは寂しいので、実車を意識しつつ飾ってみました。
キャブ前面上部にあるはずの明り取り窓がキットにはありませんので、リューターを利用して2箇所開口しました。
キャブ後部窓は鉄道文化むらの96号機に倣って破損防止用の格子を追加しました。
機関士と機関助士用の椅子もプラ板で作成。
キャブ天井は板目張りを表現すべく、細めに切ったボール紙を並べて貼り付けています。
天窓を開閉できるように天蓋を欠き切ってみました。
開口部を前後して張った真鍮線上を天蓋がスライドして動く様に出来ました。
罐内と室内灯を12Vの麦球で表現。
屋根を被せて通電すると、結構良い感じです。この後、下の写真でチラ見している様に逆転機ハンドルや速度計なども足しました。
北海道型ということで旋回窓を設置しました。風雪で前が見えなくなるのを防ぐ為に文字通り旋回する窓です。

ボール紙に直径4mmの一穴パンチで穴を開け、透明プラ板を貼り合わせ、そこにランナーを伸ばした適当な太さのものを接着し、回転軸を表現しました。

今回は59号機や96号機に倣って機関士側にだけ取り付けました。前窓外側に貼り付けると、下の写真の様になります。
これも機関士側にだけにバタフライスクリーンを設置しました。タブレットの受け渡し時などに風雪から顔を守るための風防です。

プラランナーを伸ばしたものにボール紙を切った枠を取り付けた簡素なものですが、側窓に取り付けると下の写真の様にそれっぽくなります。
キャブ下、特に機関士側が寂しかったので、空気分配弁をボール紙とプラ棒で作成しました。空気分配弁はブレーキ用の空気の圧力を制御する為の装置です。

「やや大きいかな?」とも思わないこともありませんが、お蔭でキャブ下のスカスカ感がなくなりました。
0.3mmの銅線を捻って何かを二組作っています。

C62の時にも作ったアレです。
半田で接合&補強すると、北海道型のタブレットキャッチャーっぽくなります。

下の写真の様に支点2箇所を結んで固定していますので、本物同様上下に動きます。

キャブ周りを作るのは本当に楽しいです。惜しむらくはこのサイズの機関士さんがないことですね(笑)。



前周り(前梁)の工作

このサイトのお馴染みのチップLEDを前照灯に組み込みました。連結器周りも真鍮線などでデコレート。

さて、今回は北海道型を作るつもりなので、キット付属のデフレクターを切る詰める必要があります。

デフ点検口を穿ち、縁を0.3mmの真鍮線で再生しました。

標識灯もチップLEDで作成してみました。プラス・マイナスの極性で前照灯と標識灯が排他的に光ります。

ボール紙で作ったスノープロウです。北海道の積雪を排除するには欠かせない装備です。

機関車がだいぶ出来てきましたので、次は炭水車の作成です。



テンダー(炭水車)の工作

まずは電飾工作。元々部品のない後部前照灯はランナーをリューターで削って作成しました。チップLEDを組込んで点灯です。
後部標識灯も前部標識灯同様にランナーをリューターで加工して作成。極性によって前照灯と排他的に点灯するようにしています。

機関車と異なり配線スペースに余裕があるので、テンダーの電飾は楽な工作です。
テンダーのキャブ側です。手摺やコックなど、主に真鍮線を利用してのディティールアップ工作です。
連結器周りを中心にディティールアップ工作です。後台車の後部に排障機を作りました。これもプラ板で作成しています。
次は増炭板と石炭を作成していきます。割り箸を薄く削った板とマッチ棒の柱を木工用ボンドで現物合わせしながらの工作です。

大枠が出来たら、下の写真の様にボール紙で炭庫の内箱を作成し、ここに石炭の素となる材料を積んでいきます。
付属の石炭素材(石炭にはとても見えないが・・・)をベースに園芸用のパーライトを木工用ボンドで固め、着色します。

零れ落ちた石炭などが結構良い感じになりました。

この内箱は非接着なので、増炭板も含めて取り外し可能なのが利点です。

炭水車もだいぶ出来てきました。次はその他のディティールアップ工作です。



その他のディティールアップ工作

北海道型独特の装備も含め、実車に倣ったディティールアップ工作を行います。
主前照灯が切れた時の為の副灯です。トンネルや雪の多い北海道ではかなりメジャーな装備だそうです。

非点灯ですが、プラ棒をリューターなどで削って大まかな砲弾型を作成しました。これに針金で作った円縁を接着しています。

レンズ部分は、3mm砲弾型LEDの先端部分を切断した部分を利用しています。標識灯のレンズにも使っていますが、これが結構良いレンズになってくれます。※我が家の砲弾型LEDは、みんなこの部分がないの(笑)。

次にナンバープレートですが・・・
このナンバープレートが今回の工作の中で非常に大きな問題でした。一つには32号機に縁がないということ。もっとも実車にこだわらなければ、これはどうとでも思えることでした。

しかし問題はもっと大きなことです。キット付属のものは上写真・右側のものなのですが、明らかに縦に長すぎるのです。

そこで余白部分を切断して切り継いで(上写真・左側)使っていたのですが、左の写真の様にどうしても違和感が拭えませんでした。
苦肉の策として、59号機の写真をPCで画像処理して、プリントアウトしたものを1mm厚のプラ板に貼り付け、両面テープで固定することにしました。

下の写真がその結果です。凹凸感こそなくなりましたが、上の写真と比べて格段に印象が良くなったように感じました。
折角煙室扉を開閉できる様にしたので、ボイラーの中も実車に倣って少し凝ってみました。

煙室の中には左写真の様な構造のものがあり、シリンダーから吐出管(細い方)に出た排気がペチコート(太い方)で整流され煙突から排気されるという仕組みになっています。

ラムネ飲料の開栓部材(廃物利用)やプラパイプなどを利用して大まかな形を作りました。
網の部分には妻にもらったレースの布を貼り付けています。色を塗ってしまうと、結構それっぽく見てるものです。
サイズも測って作ったのでぴったりです。煙室に収めると左の写真の様な感じです。
さらにハンドルを回して煙室扉を開閉できるように、かんぬきも作成しましょう。
実車と同じ様に、煙室ハンドルを回して煙室扉の固定が出来る様になりました。
回転火の粉止めの外形はラバーキャップを切断したもの。中はプラパイプに目の細かな布を張っています、

前回は網戸の網を利用したのですが、少々大振りでしたので、今回は肌理の細かな布を利用しました。

針金で回転火の粉止めへの電気配線を施しました。
煙室から出る灰を除ける”シンダー除けエプロン”はプラ板でそれっぽく作成。

似合わなかった場合、すぐ外せる様に両面テープで固定しています。
昭和50年代初頭まで走っていた北海道の蒸気と言うことで、ATS対応にしたいと思います。

ATS用発電機は当然の様にキットにはありませんので、プラ棒などで作成してみました。出来こそ荒いですが、そこそこそれっぽくは見えます。

下の写真は排気管や給気管、配線などを装着しているところです。
電源は確保できましたので、今度はATS車上子です。厚紙を切った大変素朴なものです。
各々の形を整えて、テンダー下の台車の間に設置しました。素朴なものですが、シルエットは良いですよ。
誘導員の安全確保のため、実際の59号機に倣ってテンダー後部左ステップを大型にしました。
ランナーを伸ばした部材を組み合わせて、石炭水撒き管をキャブ屋根後部に設置。
その他の細々した工作と塗装を済ませ、いよいよD51-59の完成です。




D51 59の完成

色々な角度から写真を撮ってみました。長いですが、どうぞご覧ください。

塗装はつや消しにし、ランボード側面にはあえて白を入れず、働く機関車を意識してみました。

ナンバープレート同様、メーカープレートや架線注意などをプリントアウトして各所に貼っています。

まだウェザリングはしていませんが、下面に軽く茶色を吹くと良いかもしれません。

灯火を点灯させての撮影です。

完成まで1ヶ月を費やしましたが、やっと完成しました。
C62 2の時よりも特定番号機としてこだわらなかった分だけ完成が早かったようです。
とは言え、北海道型についてはほとんど無知でしたので、先述の資料や写真と首っ引きでした。

私個人としては、C11-171C62-2に次いで3両目となる1/50シリーズです。
全長で40cmを超えるので、完成してしまうと少々持て余し気味なモデルです。
置き場所がないので、いずれもお店のショーケースに飾ってあげています。
「売り物でもないのに・・・」と怒られそうです(笑)。



車両販売中

私のお店、アークウェブショップにてどうぞ

レンタルレイアウトも展開中です

このページのTOPヘ


Copyright(C) 1998-2012 のなか通信 All Rights Reserved