車両工作
C50から8620形蒸気機関車を作る
KATO C50 (201)

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以前より我が家で活躍してくれていたKATOさんのC50形蒸気機関車
C形タンク機としてはやや地味なC50ですが、KATOさんが初めて世に送ったNゲージ蒸気機関車モデルです。


古いタイプのモデルにもかかわらず、同社のC11や旧D51では省略されている解放テコ、結びリンクや合併テコなどもあり、
模型としては非常に頑張っていて、大変好感の持てる製品であると思います。

大正時代の標準機である8620形を改良して昭和4年より製造された実際のC50形蒸気機関車ですが、
装備が増えた分だけ8620形に比べて軸重が重くなり、結果的に短命となったやや運の悪い機関車です。
個人的にも馴染みもなく、どちらかというとやはり8620形の方が好きな機関車なのです。

8620形の製品はマイクロエースさんから出ていますが、入手し難いのが実情です。
そんな折にいつも拝見している”Nゲージ蒸気機関車”サイト様の
「C50を8620風に」の記事に目が釘付けになってしまいました。
記事は是非とも皆様にもご覧になっていただきたいのですが、
私にとっては結構ハードルの高い工作なので、実は1年程逡巡しておりました。

ところがこのところ蒸気機関車の工作をいくつか行い、とりあえず度胸だけはつきましたので、
『清水の舞台から飛び降りる』くらいの覚悟(大げさ?)で実行してみることとしました。

今回はよそ様から頂戴した内容の工作ですが、大切な蒸気機関車ですので頑張ってみたいと思います。



工作編

まずは構想です。

8620形は製造時期などによって様々な形態がありますので、
”デフなし・ランボード後ろ高・普通キャブ”
という方針で作ろうと思います。

C50の写真に赤線でランボードとキャブの形状などを大まかに書いてイメージしてみました。
頭の中でなんとなく構想が出来たところで、
まず、ボディーを外し、キャブとボイラーを分離。

写真にはありませんが、
さらに各部を細かく分解していきます。

これで準備OKです。


ダイキャストの削り込み
初っ端からですが、
今回一番苦労したのは、このダイキャスト削りでした。

細い三角形のヤスリ一本で、溝を掘っては均すという気の遠くなるような作業でした。

ちゃんとしたヤスリは買っておくべきですね。
削り込んだ部分は、丁度ボイラー下の隙間に当たる訳です。
この隙間が後からみると素敵なのです。

ネジ穴はほとんど首の皮一枚で繋がっているくらいです。
我ながらよく頑張って削り込んだなぁ。


ボイラーの工作
ランボードの高さが根本的に変わります。
そのため、構成がかなり異なりますので、各部を切り離し、
利用できるパーツは後程再利用するようにします。
手摺や配管は真鍮線などで再生するつもりです。
そのため、モールドはすべて削り落としました。
ボイラーの下がスカスカになってしまうので、
紙でボイラーの丸みに沿って裏打ちして、パテを盛り、
紙やすりで均して平滑にします。
これが施工後の姿です。
モールドがないとすっきりしていますね。
紙などでボイラーバンドを作っているところです。
先程削ったダイキャストに車輪を組込み直し、
ボイラーを仮合わせしてみました。

ボイラー下のわずかな隙間の素晴らしさ。
苦労して削った者にしかわからないでしょう(笑)。

シリンダーブロックの高さもランボードの高さに合わせて切り取ってあります。
ボイラーとシリンダーを繋ぐ部分のカバーを作成中。
無いものは基本的にプラ板工作ですね。

これを削っていって、丸みをつけていきます。
前梁部分もランボードの高さに合わせて切断。
新たにプラ板で8620形らしく貼り合わせています。

先輪にはC10同様、B6の従輪を利用しています。
ランボードもプラ板にて構築してみました。
砂撒き管を0.3mmの真鍮線で新製。
車輪カバーや加減リンクのカバーをプラ板工作。
配管作りに着手です。

C50から取り外した部品(コンプレッサーや発電機など)を利用しつつ、真鍮線でそれっぽく構築しています。
ボイラー脇のS字管はプラ板と真鍮線で作りました。
顔(?)と手摺、梯子などを取り付けました。

ヘッドライトにはいつものC57-180のASSYパーツを利用し、点灯することができるようにしました。そのままでは取付できないので、ボイラーを少し切り込んで接着してあります。

さぁ、そろそろキャブが欲しいですね。


キャブの作成
C10作成時に学んだ方法を以ってキャブを作成します。

C50のモールドをすべて削り落とします。
窓部分はちょっと広めに開口してあります。
標準キャブの形状に切り出した0.2mmのプラ板。
薄いので紙のようにペラペラです。
貼り付けて削って均し、窓を開けました。
四角形を正確に開けるのも結構大変ですね。
窓周りの水切りのモールドを0.23mmの銅線で作成。

元々シンプルな造りの8620形ですので、
キャブのモールドもこのようにシンプルで大丈夫そうです。
機番によっては点検口を開けたりも出来そうです。

とりあえず、キャブの出来上がりです。


ディティールアップ工作
出来上がったキャブをボイラーに接着しました。

下回りやテンダーとの整合性もここで確認。

テンダーや前梁の乗務員用手摺を0.3mmの真鍮線で作成。石炭も少なめだったので、少し多めにバラストで増量。

排障器やキャブのステップ、側窓ヒサシをアルミ板で作成。ボイラーのモールドも虫ピンの頭で作ってみました。


ヘッドライトの点灯工作と塗装準備
12V電球を利用したので甚だ単純です。
モーター端子から銅線を延ばしただけです。

テスト良好の後、紙テープを利用して絶縁対策を施しました。
ボディーを被せたところです。
導光材を入れて試したところ、光漏れが結構出ます。
絶縁対策をした板錘をボイラー下側にU字状に設置。
補重もかねることが出来て、これは良いと思います。
※調子に乗って、テンダーにも板錘で補重しました

光漏れもほとんど無くなり、いよいよ塗装です。
マスキングゾルなどでヘッドライトなどを保護し、
メタルプライマーで下地処理です。

このあと細かいところを予め筆で黒を塗った上、エアブラシで塗装しました。
今回は旅客用機関車ということで、半光沢にて仕上げてみました。



完成編

いつものプリントシール(↓)で作った自家製ナンバープレートや架線注意のシールを貼って完成とします。

車番は18620です。昨年秋、94歳で他界した大正5年生まれの祖父と同じ大正5年製造の機番の中から選びました。

果たして実際の18620号機がデフなし・ランボード後ろ高・標準キャブであったのかは全くわからないのですが、そんな縁で繋がった車番です。

汽笛はKATOさんの9600用のASSYパーツを利用しました。テンダーの前照灯は元々のヘッドライトを流用。

例のターンテーブルに乗ってもらいました。

レトロっぽくで白黒で(笑)

実物の8620形は見た事がないのですが、近くでは青梅鉄道公園、遠く憧れの梅小路蒸気機関車館へも行ってみたいですね。

D51のヘッドライト点灯工作の時にも思いましたが、”Nゲージ蒸気機関車”サイト様に感謝申し上げます。
本当にありがとうございます!



後日談

2013年1月に念願叶って青梅鉄道公園の8620号機に会うことが出来ました。





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